5/3 信濃グランセローズ−新潟アルビレックスBC(松本市野球場)

 独立リーグができてから一度は見に行きたいとは思い続けていましたが、ようやくGWの予定とうまく都合があったので、鉄道旅行と一緒に松本にBCリーグを見に行ってきました。NPBの試合は年40試合くらいのペースで観戦していますが、こういった異なる組織の試合を見に行くのは昨年の女子野球リーグ依頼。運営や観戦のスタイルなど独特で面白く、非常に興味深い観戦になりました。

BCリーグのプロフェッショナルを見た 信濃1-4新潟


 今回の試合は松本市野球場にて開催。松本駅前のバスターミナルから、市内循環バスで20分くらいのところにあるのですが、せっかくなので行きは反対周りで遠回りして、市の中心部から浅間温泉あたりまでぐるりと松本市内をバスで一周してみました。球場は浅間温泉のすぐ近くにあります。

 松本市野球場。内野は椅子席、外野は芝生席といった作りになっており、25,000人を収容できます。過去にはプロ野球の公式戦を開催したこともある、立派な球場です。入場料は1,000円。追加にもう1,000円払えばバックネット裏に入れますが、個人的には目の前にネットがある環境があまり好きではないので、通常の内野席からの観戦にしました。

 外野の広告は各球場を転々とするBCリーグらしく、移動式の横断幕の形です。

 球場外には、信濃グランセローズの守護神であるセロン様の像が。検索してみたところ、スポンサーをやっているデザイン会社からの提供っぽいですね。面白い試みだと思います。

 球場内外ではグランセローズグッズが売られていたので、BCリーグ選手名鑑とグランセローズのキャップのセット(2,300円)を購入。選手名鑑はただの選手名鑑にとどまらず、BCリーグから別の道へ進んだ元選手たちのインタビュー(楽天の内村もいました)など、値段以上の読み応えで満足できる内容でした。観戦のお供におすすめです。キャップも想像以上にしっかりした出来で、普段使いにも十分耐えられそう。良い買い物でした。

 試合前にはスピードガンコンテストなどの参加型企画が行われましたが、この企画の司会もスタッフも、全て選手が行っています。骨折した腕を三角巾で吊るしながらもスタッフとして参加する選手の姿もあり、選手であると同時に運営にも関わるという姿勢がよく伝わりました。試合中のグラウンド整備についても、選手が率先してトンボを持って行っています。

 チームマスコットもいますし、現地のチアチームも合間に応援に駆けつけていました。そして地元の大学の女子ソフトボール部がボールガールを務めるなど、地域と連動してお金のかからないショーアップについて、よく研究されてるなと思いました。
 そして、黙祷を行い国歌斉唱。そこまでは普通だったのですが、ビックリしたのはその後に、観客、選手も一体となった長野県歌「信濃の国」の斉唱が行われたこと。長野県民の方は一緒に歌ってくださいというアナウンスの後に流れだしましたが、奈良県産神奈川県民の自分は当然歌えません。しかし周囲を見るとほとんどの方が歌えてるんですよね。長野県凄いと思いました。こういった地域一帯となる雰囲気作りは、地域あっての独立リーグらしくて素晴らしいです。

 試合については、元NPB組を中心に振り返ってみたいと思います。この日の信濃の先発は元日ハムのエースであった金村。東京ハム時代には何度も東京ドームで先発する姿を見ていた選手です。さすがに全盛期の迫力はなく、球速は130km台前半までで、クリーンヒットされる場面が目立ちました。味方の守備(4失策)に足を引っ張られたこともあり、7回を被安打7の4失点(自責点1)となり敗戦投手。しかし、終盤はテンポよくサクサクと三者凡退にして尻上がりに調子を上げて行ったこともあり、これからもローテで回り続ければ良くなってきそうな印象もありました。

 すっかりさすらいの野球人というイメージが固まってきた、元広島の青木智史の姿も。新潟ではコーチ兼任です。四番DHで出場も、気持ちがいいくらいの思い切ったスイングで三振するなど全打席凡退。それでも風格は抜群でしたね。

 そして代打で登場したのは、楽天イーグルスの黎明期を支えたあの男、竜太郎。一時期はコーチも兼任するなど、そのキャリアはまさにミスター信濃。結果は凡退でしたが、久しぶりにプレーしている姿を見れたのは嬉しかったです。

 新潟3点リードで9回に入り、ブルペンに入ったのはあの高津臣吾。今年から新潟に加入し、当然ストッパーを務めています。その高津のブルペン投球を間近から見ることができる距離感は、独立リーグの魅力が詰まっていました。素晴らしい時間でしたね。

 マウンドに上がってもお馴染みのフォームから、最速は130km台でしたが変わらぬ投球を披露。一本ヒットは打たれましたが、しっかり0点に抑えました。

 そしてチームメイトとハイタッチ。こういった名球会レベルの選手と対戦できる、一緒に試合ができることがどれだけリーグのレベルに貢献できるか。夢のあるチャレンジだと思いましたね。

 試合全体の印象としては、まずとにかく声が出ていました。ピッチャーの一球一球に対して、内野だけでなく外野からも声が出て、攻撃側からも盛んに声が出ています。本当にハツラツとした、元気な野球でした。レベルについては、特に守備についてはまだレベルアップができそうな印象でしたが、積極果敢な走塁は目立ちましたね。常に次の塁を伺う姿勢が出ており、外野の間を抜いたらまずスリーベースを狙う、そういった姿勢は良かったです。NPBを狙うのであれば、一芸を身につけなければなりませんから、まず脚というのは分かりやすいアプローチだと思います。試合全体を通しては、信濃の原選手の印象が良かったですね。覚えておきたいと思います。

 そしてスタンドの風景。信濃グランセローズはレッドセローズという応援団があり、一般的な曲の流用を中心に、個人別応援歌まで作ってトランペットで吹いての応援で、横から見ていても非常に楽しかったです。コールはオリックス形式(○○!○○!かっとばせー!○○!)でした。公式ブログから応援歌など見られるので、興味のある方はぜひ。新潟からは応援団としての遠征はなさそうでしたが、随所で声は出ており、試合後はエール交換もされていました。

 この日の観客は1,192人。途中に雨がパラつくような天候でしたが、ほとんどの人が帰らずに最後まで応援していました。NPBとの違いはありますが、独立リーグには独立リーグの魅力があることがよく分かりましたね。もし、興味を持たれた方は、思い切って一歩踏み出してみましょう。きっと、行って良かったと思えるような時間が過ごせると思います。

観戦成績